しみには、肝斑、老人性色素斑、そばかす、脂漏性角化症などの種類があり、原因や治療が異なります。皮膚科で受けられる治療方法や、クリニックで受けられるレーザー除去、内用薬や外用薬、サプリメントをご紹介します。しみの種類を見分け、効果的な化粧品や、美白成分を正しく知りましょう。話題の成分ハイドロキノンについても紹介します。
シミ・そばかすを消すには?まずは種類を知ることから
紫外線やターンオーバーの乱れが、メラニン過剰の原因に

シミの原因となるのは、メラニンという色素なのですが、メラニンには大切な役割があります。皮膚がんを引き起こす紫外線など、肌にダメージを与える外部刺激を吸収したり、遮ったりする役割です。
肌の表皮層は、外部刺激から、真皮といわれる内側の肌層を守っています。いわば、表皮が盾になっているのです。その表皮層の底には、メラノサイトという部分あり、メラニンはそこでつくられています。
メラニンがあることで真皮は深刻なダメージから守られているのですが、さまざまな要因によって過剰なメラニンがつくりだされると、シミになってしまいます。
また、肌は表皮層や真皮層などいくつかの層からなっており、古くなった表皮層が剥がれ落ちると、奥の層が表面に出てきます。同時に内側の真皮層も、徐々に新しくなっていきます。これを肌のターンオーバーといい、通常30~40日ほどで肌は生まれ変わります。
なんらかの要因でターンオーバーのサイクルが乱れ、古い肌がうまく剥がれないと、シミになってしまいます。ターンオーバーを乱す要因は、紫外線の浴びすぎによる肌の角化、加齢による新陳代謝の低下、ホルモンバランスの乱れ、摩擦などの外部刺激、ストレスや喫煙、栄養不足などが挙げられます。
紫外線はメラニンだけでなく、活性酸素も発生させます

紫外線は、過剰なメラニンをつくると同時に、活性酸素も発生させます。活性酸素はコラーゲンを傷めるので、皮膚の保湿機能が失われたり、ターンオーバーが乱れたりしてしまいます。その結果、シミができてしまうだけでなく、シワの原因にもなってしまいます。
シミの種類でちがう!形、できやすい場所、治療法

・老人性色素斑…シミの種類では、もっとも多いのが老人性色素斑といわれ、主な原因は紫外線です。これまで浴びてきた紫外線のダメージが蓄積し、現れるといわれています。できやすい場所は、頬骨の出たところ、こめかみなどで、数ミリ~数センチほどの、丸い形が多くみられます。40代に現れることが多いのですが、色白の人、外で運動する人は、20代後半で現れることもあります。
・肝斑(かんぱん)…30代、40代の女性に多いシミです。はっきりした原因は特定されていませんが、閉経とともに改善することが多いことから、女性ホルモンが関係していると考えられ、ピルの服用や妊娠がきっかけになることもあります。できやすい場所は、頬骨のあたり、鼻の下、額などで、左右対称にできるのが特徴です。
・そばかす…遺伝的なものとされ、色白の人に多く、子どもの頃から現れます。成長すると薄くなることもありますが、逆に、紫外線や喫煙、生活習慣の乱れによって濃くなることもあります。鼻や頬、顔全体にでき、肩など体にできることもあります。色は薄め、小さくて不規則な形をしています。
・脂漏性角化症…角化が進んで盛りあがったシミで、いぼ状になっていることもあります。頬など日光が当たりやすいところにできやすく、手の甲にできることもあります。化粧品では効果が少ないといわれ、レーザーでの除去が有効とされています。
間違ったケアで悪化してしまうことも。皮膚科に相談を

その他には、ニキビやアトピーによる炎症性色素沈着、摩擦黒皮症、花弁状色素斑、生まれつきのアザ(遅発性両側性太田母斑)などがあり、それぞれ原因・治療法が異なるので、間違ったケアをすると悪化してしまうこともあります。
特に、肝斑は治療が難しく、多くのシミに有効なレーザー治療で悪化してしまうケースも珍しくありません。皮膚科や美容クリニックに相談するようにしてください。
老人性色素斑の治療
自分で完治させるのは難しい

紫外線のダメージが蓄積して現れるものなので、日頃から紫外線対策をして予防することが重要です。まだ現れていない老人性色素斑は、紫外線対策や、美白化粧品、食生活などによって、出現を予防することができますが、すでに現れてしまったものは、自分で完治させるのは難しく、皮膚科や美容クリニックでの治療が必要になってきます。
クリニックで行われる代表的なシミの除去には、レーザー治療があります。治療費、治療期間は、シミの濃さや大きさによってまちまちで、クリニックによっても変わってきます。1mm平方くらいのシミで約1000円という料金を設定しているところもありますが、小さいシミであれば、1回の施術は5000~10000円程度のところが多いようです。シミの状態によっては、塗り薬を併用したり、複数回レーザー治療を要することもあり、その場合は料金が変わってきます。
老人性色素斑のレーザー治療

施術方法は、シミに麻酔クリームを塗ってから、そこにレーザーを当てるという方法になります。時間は1cmのシミだと10秒ほどで、輪ゴムではじいたくらいの痛みだそうです。レーザーを当てたあとは、肌色のテープで保護します。
安全のため、初回はテスト照射だけ行い、1か月後に施術するクリニックもあります。また、シミの状態によっては複数回の施術を要することもあるので、2、3か月はかかると思ったほうがいいかもしれません。
レーザー治療後10日ほど経つと、メラニンがかさぶたになって剥がれます。個人差はありますが、1~6か月は多少の赤みが残るようです。
肝斑(かんぱん)の治療
間違ったケアで悪化する恐れも。まずは皮膚科に相談を

シミの多くは紫外線が原因なので、紫外線対策や美白成分によって改善できることが多いです。しかし、肝斑の原因は特定されておらず、女性ホルモンが関係しているといわれています。自分で完治させるのは難しく、間違ったケアによって悪化させてしまうこともあります。
他の種類のシミと併発していることも多く、肝斑だと知らずに自己流のケアを続けた結果、他の種類のシミは薄くなっても、肝斑は濃くなってしまったということにもなりかねません。また、肝斑の完治自体難しく、再発も多いので、専門機関での長期的な治療と、日常的な対策を続けることが大切です。
内服薬と外服薬が基本。肝斑を消す、最新のレーザー治療も

メラニンの増加を抑制するアミノ酸である、トラネキサム酸を服用します。肝斑の予防と改善に効果があり、内服することで全身のシミ改善も期待できます。4、5週間で効果が出はじめ、治療期間は1、2か月かかるようです。
トラネキサム酸の内服と同時に、トレチノイン・ハイドロキノン、ふたつの外用薬を処方することもあります。トレチノインは、肌のターンオーバーを早め、古い皮膚とメラニンが剥がれるのを促します。ハイドロキノンは、メラニン生成をブロックするとともに、肌を漂白する効果があります。
従来のレーザー治療は刺激が強く、肝斑を悪化させることも少なくありませんでした。最新の研究で、弱いレーザーを用いれば、細胞を傷めずにメラニンだけ除去できることが分かり、肝斑のレーザー治療が可能となったそうです。
そばかすの治療

老人性色素斑と同じレーザー治療や、肝斑と同じトラネキサム酸の服用などがあります。また、フォトフェイシャル光線を用いた治療や、イオン(超音波)導入で高濃度のビタミンを浸透させる治療、古い皮膚やメラニンを除去するケミカルピーリングなど、さまざまな方法があります。そばかすは他の種類のシミと併発していることも多いので、その場合、いくつかの治療法を組み合わせることが多いようです。
日常ケアで予防、改善を!自分でできる、シミ・そばかす対策
室内でも気を抜かないで!UV対策は万全に

シミ・そばかすには、さまざまな種類がありますが、紫外線は共通の原因です。紫外線が直接の原因ではない肝斑も、紫外線によって濃くなってしまう恐れがあります。UV対策をしっかりすることで、これからできるシミを予防するだけでなく、すでにできてしまったシミが濃くなるのを防ぎましょう。
晴天の日に外出するときだけでなく、曇りの日でも紫外線は射しています。日焼け止めやUV効果のあるクリームを塗りましょう。室内にいるときも、窓から紫外線が入ってくるので、気をつけてください。
どんな基礎化粧品がいいの?シミに効く美白成分

シミに有効とされている成分はたくさんありますが、特に、厚生労働省が認可しているものは、高い効果が期待できるので、「医薬部外品」と記載されているものがおすすめです。また、ご自分が望む効果に合った成分の化粧品を選んでください。
1、すでにあるシミを薄くすると同時に、メラニン増加をブロックする成分
・ビタミンC誘導体
・ハイドロキノン
ただし、ともに刺激が強く、炎症を起こしていたり、敏感肌の方は注意が必要です。また、ビタミンC誘導体には乾燥作用があるため、保湿成分も配合されたものを選んでください。
2、メラニン増加をブロックする成分
・アルブチン…肌に吸収されると、ハイドロキノンに変化するので、シミを薄くする効果もあります。ハイドロキノンに比べ、刺激が少ないというメリットがあります。
・エラグ酸…ベリー類に含まれる成分で、抗酸化作用と、高い美白効果があるといわれ、サプリメントにもなっています。
・ルシノール…ハイドロキノンに似た成分で、肌への浸透にすぐれています。
・カモミラET…カモミールからとれる成分で、メラニン生成を抑制する効果があります。
・トラネキサム酸…メラニン生成をブロックするとともに、肌の炎症を抑える効果があります。肝斑の治療によく使われます。
・リノール酸S…ベニバナ油の成分で、メラニンの増加を抑制します。
・コウジ酸…日本酒の製造所で働く人の手が白いことから見つかった、麹菌の成分です。
・プラセンタ…豚の胎盤から抽出される成分で、メラニンの増加を抑えるとともに、新陳代謝を促し、ターンオーバーを正常にする効果があるとされています。
美白効果の高い、ハイドロキノンって?使用法と注意点

ハイドロキノンとは、イチゴやコーヒーから抽出される成分で、メラニンの生成をブロックすると同時に、酸化して黒くなったメラニンを漂白する効果があるとされています。シミを予防するだけでなく、できてしまったシミにも効果が期待できるので、注目されています。
高い美白効果が期待できるハイドロキノンですが、使用にはいくつかの注意が必要です。
いちばん注意しなければならないのがUV対策です。メラニン生成をブロックするため、肌が紫外線の影響を受けやすくなってしまい、うっかりUV対策を怠ると、逆にシミの原因になってしまいます。UV対策をしっかり行い、シミが薄くなったら使用をいったん止めることをおすすめします。
また、刺激が強いので、顔に塗る前に腕などでパッチテストをする必要があります。2~4パーセントの濃度があるので、ご自分の肌に合うものを選ぶようにしましょう。また、ハイドロキノンは酸化しやすいため、開封したら早めに使うようにしてください。変色したものは効果が弱くなっている可能性があります。
正しいスキンケアでシミを改善しよう
洗顔は優しく。ピーリング効果のあるものは週1、2回

刺激はメラニン増加の原因になります。ネットなどで、洗顔料をふわふわに泡立て、こすらないよう優しく洗ってください。タオルで拭くときも、押さえるようにそっと拭いてください。化学繊維が一因となることもあるので、綿100パーセントのタオルがおすすめです。
ターンオーバーの乱れによって、古い皮膚がいつまでも残るとシミの一因になります。あごに大人ニキビができる方は、ターンオーバーが乱れやすくなっている可能性があります。そんなときは、AHA(フルーツ酸)やたんぱく質分解酵素など、ピーリング効果のある洗顔料も有効です。刺激があるので、使いすぎは逆効果になってしまうこともあります。週1、2回にするなど、使用方法を守りましょう。
乾燥もシミの一因に!しっかり保湿しましょう

乾燥による肌の角化はターンオーバーの乱れをまねき、シミの一因になります。また、乾燥すると肌のバリア機能が低下し、紫外線や外部刺激などのダメージを受けやすくなります。化粧水に加え、乳液やクリームで保湿しましょう。めんどうなら、オールインワンゲルを利用するという手もあります。
保湿しても乾燥する方!体が水分不足になっているかも
どれほど基礎化粧品で保湿ケアしても、体自体に水分が足りていないと、インナードライになってしまいます。弱酸性のミネラルウォーターが理想ですが、水道水でも1日置けばカルキが抜けます。いちどにたくさん飲んでも体は吸収できないので、こまめに補給するようにしましょう。
美しい肌は内側から!シミを改善、予防する食べ物・サプリメント
外部からのダメージだけでなく、睡眠不足、栄養の偏った食生活などにより、老化色素と呼ばれるリポフスチンの合成が促され、シミの原因となります。肌も体と同じ、体内に入る栄養素からできています。食生活を見直し、シミを改善・予防しましょう!食事で補えない方はサプリメントを活用してください!
皮膚の新陳代謝を促し、乾燥も防ぐビタミンA(ベータカロチン)

ビタミンAは表皮層の新陳代謝を促し、肌のターンオーバーを正常に保つ働きがあります。ビタミンAが不足すると、皮脂が出にくくなり、乾燥してしまいます。油溶性なので、油といっしょに摂ると効果的です。
・小松菜、ニンジンなどの緑黄色野菜
・うなぎ
健康な皮膚をつくる、ビタミンB2、B6

ビタミンB2は脂質の代謝を促し、健康な肌をつくります。不足すると皮膚炎を起こすこともあります。
・サバなどの青魚
・レバー
ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に関わり、美しい肌に必要な栄養素です。不足すると、アレルギー、吹き出物、じんましんなどを起こすこともあります。
・鶏肉
・鮭(特に皮に豊富)
・アボカド
美白栄養素の代表!ビタミンCはこまめに補給しよう

余分なメラニン生成を抑え、シミ・そばかすを防ぎます。また、コラーゲンの生成に必要な栄養素で、肌の保湿機能を保つ働きもあります。抗酸化作用があるので、メラニンが酸化して黒くなるのを防ぎ、シワなどの老化を防ぐ効果もあります。
水溶性であるため体外に排出されやすいので、こまめに補給する必要があります。コーヒーなどカフェイン飲料をよく摂る方、喫煙をする方は不足がちになるので、意識してください。
・ブロッコリー、トマト
・いちご、オレンジ
・芋類
新陳代謝を促進するビタミンE!ビタミンCとは抗酸化の最強タッグ

血行と新陳代謝を促す栄養素です。抗酸化作用にもすぐれています。ビタミンEは活性酸素にイオンをわたすことで抗酸化作用を発揮しますが、イオンを失ったビタミンEは悪玉に変化してしまいます。しかし、ビタミンCからイオンを受け取ることで再生できるので、ビタミンEとCは同時に摂取するのが理想です。また、ビタミンEは油溶性なので、油といっしょに摂ると吸収が高まります。
・カボチャ、ニンジン、アボカド
・アーモンド、ごま
・うなぎ、たらこ
リコピンの抗酸化作用は、ビタミンEの100倍ともいわれます

リコピンは抗酸化作用にすぐれ、余分なメラニンが増えるのを抑える働きがあります。また、成長ホルモンの分泌を促がすので、肌の修復も期待できます。成長ホルモンが分泌される就寝前に摂るのがおすすめです。
・トマト
・赤パプリカ、ピーマン
肌を修復し、老化を防いでくれる、アスタキサンチン

アスタキサンチンには、活性酸素を除去する働きがるので、メラニン生成を抑制し、老化を防ぐ効果が期待できます。
・鮭
・いくら
肌のターンオーバーを整える、L-システイン

肌の新陳代謝を正常にし、不要なメラニンの排出を促がす働きがあります。ビタミンCといっしょに摂ること効果が高まります。豆乳とはちみつ、ビタミンCの豊富なイチゴを混ぜたドリンクなんて良さそうですね。
・豆乳など、大豆食品
・はちみつ
抗酸化にすぐれたポリフェノール、エラグ酸

エラグ酸は抗酸化作用にすぐれ、メラニン生成を抑制するとともに、肌の老化を防ぐ効果が期待できます。
・ザクロ
・ベリー
まとめ

いかがでしたでしょうか?しみ・そばかすの対処法についてご紹介しました。気になったことがありましたらぜひ参考にしてみてください!